向こう側を完全に遮蔽するレンガ塀ですから、ポイントはその高さになります。どの方向にどこまでの高さのレンガ塀を積むか、その構成のしかたで、目隠し効果が変わってきます。
道路側からご覧ください。
あなたの壁証拠音する方法
そこなんです、昨日書いた「妥協してはいけない」ということ。隠すべきところはキッチリ隠す。
理屈っぽく、「この部分にはこれだけの高さが必要である」となったら、そこを隠す方法をあれこれ考えて、妥協せずに目的を果たす。そこを中途半端にやり過ごしてしまうと、レンガを積んだのに役に立っていない、ただ意味もなくレンガがあるだけということになります。
この、ただ意味もなくそこにあるレンガ積みやブロックの塀やフェンス、これがまた世の中にはあふれています。
もったいない。それにかけたコスト以上に、そこをちゃんとやり切れば実現したはずの「庭のある、心地よい暮らし」を棒に振ってしまっているわけですから。
この一見すると高すぎるような塀を、道路の向こう側から観てみましょう。
カーペットのために測定する方法
外から、中から、最低限ここまで必要という目隠しの具合、高さを入念にイメージしてそれを整えることで、このテラスの居心地、リビングの居心地が成立しています。
目隠しは庭づくりの基本です。
基本は、理屈っぽく、妥協しないで整える。
基本さえ整っていれば、あとは自由自在に場を組み立てることが出来ます。このテラスをバリ風にも出来るし、カントリー調に仕立ててもいい。すべては基本の上に構築することなのです。
明日はテラス内部の居心地を感じていただきます。
昨日の坂東玉三郎が大切にしている言葉、
型破りな演技は、型を知らずにはできない。
どのように私は、外部コンクリート基礎をペイントしない
型を知らずにやるのは、型無しというのだ。
ぼくにはとても強く響く言葉でした。それは同じようなことを修行時代によく言われていたからです。土木の施工管理で丁張り出しという作業があります。施工のための基準になる高さや方向を測り出して、現地に杭を打って、そこに打ち付けた板にそれを釘で示す作業です。
丁張り出しの基本は水平。例えば家の基礎を作るときに、すべてが水平に仕上がっていないと、家が傾きますよね。そういうことです。水路を作る場合でも、まず水平を出して、それから水が流れる勾配を決めていきます。
その水平のことを「ロク」と言います。たぶん陸(リク)から来ている言い方だと思いますが、土木ではそう言います。「ロクを出す」とは基準となる水平を出すということです。
ぼくは新潟で、小岩政夫という厳しい親方について、3年間毎日怒られっぱなしのような修業時代がありました。
親方は、ぼくが出した丁張りを一目見て、「ロクが悪い」と言います。
測量器械を使って、細かい数字を計算しまくってロク(水平)を出しているのですが、ぼくが一応の自信を持って出した丁張りを、パッと見てそう言うのです。
ムッとしながら、それでも怖い親方からの指摘ですから、再度測り直し計算し直すと、指摘通り、計算ミスでロクは狂っていたということが何度もありました。
「そんな機会や計算機に頼るからいけねえんだ。ロクが出てるかどうかなんて見りゃあわかるだろ」と叱られました。たしかに、計算とか自負心とか、そういうものを取っ払って素直な目で見れば、自分が出した丁張りが間違っていることは一目瞭然でした。
親方は丁張りのこと以外でも、この「ロク」ということを言います。
ロクデナシって言ってな、ロクがわるいやつは何やってもだめだ。
現場の休憩小屋で冷や酒を飲みながら、よくそう言っていました。
ロクとは水平、基本ということです。
親方に繰り返し言われた基本とは、人より早く出社すること。現場に行くときは、職人さんよりも早く行って段取りを整えておくこと。いつも現場が整然と片付いているように掃除をすること。職人さんが次に何をやるのかを予測して先回りすること。絶対に測量ミスをしないこと。
その基本が出来るようになるのに、実に3年かかりました。そして毎日怒られ続けていた恐ろしい親方が、気がつけばぼくを最強のパートナーとしてくれていて、難しい現場ではぼくを指名してくれるようになっていました。
3年間、ぼくはロクデナシだったわけです。
修行って大事だなあと思います。修行って、基本を身につける期間のことなんですよね。ロクデナシがロクがいい職人に、一丁前の人になるための時間。
ロクデナシを辛抱強く叱り続けてくれる人との出会いも、時間が経つほどに有り難いことだと感じます。
そのときは、コンチクショウ!の連続だったんですけどね。
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